「上意下達」という弊害
まず「上意下達」ですが、これは 上位の者の意志や命令を、下位の者に徹底させるという意味です。
上下関係をはっきりさせることで指示命令系統が機能して意思決定の迅速化により行動のスピードを高める効果があります。
右肩上がりの成長を遂げる時代や業界で はトップの意思決定で売上やシェアを伸ばすことに有効性があります。
しかし上意下達が強すぎると、上司や先輩に対する遠慮や圧から忖度をして顔色をうかがい、結果率直な疑問や違和感に対して声を 挙げにくい状態が起こります。
例えばスポーツ中の適時の水分補給は現代では当然のことですが、私が中学生ぐらいのときは真夏の炎天下でも休憩時間以外では水分をとらせてもらえませんでした。
当時の私はなんで水飲めないんだろうと思っていましたが、顧問や先輩に忖度して、質問することさえできませんでした。
このように疑問や違和感を抱きながらも声を挙げにくい組織風土の会社はたくさんあります。私が長く在籍していた保育業界でも先輩や役職のあるベテラン保育士に忖度して、言いたいことも言えず、若手人材が大きな不満を抱えているという組織がたくさんありました。
また、たいていの場合若手世代 とベテラン世代で価値観の溝が深くあり、その溝を埋めるためには 双方で尊重し合う風土が必要になります。
しかし上意下達が強いままだと、どうしても若手世代がベテラン世代に忖度せざるをえなくなります。
その程度が激しくなると、若手世代への圧力となり、その結果、精神的に限界を迎えて離職や体調不良による休職などにつながったりします。
「同調圧力」という弊害
もう1つが「同調圧力」です。
同調圧力はチームや職場などにおいて何か決定をする際に、少数意見を尊重せず、多数意見に同調させようとする状態です。
日本の世間自体にその風潮はありますが、昭和的組織風土ではその傾向はより一層顕著になります。これは先輩や上司からだけで なく、同僚や後輩からもかけられる圧です。
このような状態だと、声の大きな人や権限の強い人の意見が重用され、本来すべき議論が起こらず結論ありきの形骸化した内容になってしまいます。
当然そのような状態では、貴重な意見や新しい視点は出にくく、イノベーションにつながるような取り組みは採用されにくくなります。
私の知り合いの会社の管理職の方も、上層部からどんどん意見を 出してほしいと言われて、新しい意見を出そうとしても、上司だけでなく、同僚からも余計なことをするなという雰囲気を出されて結果何も言わなくなったという人を何人も知っています。
またまた長くなってしまったので③に続きます。
もうしばらくおつきあいお願いします。