若手・女性人材を活躍に導く心理的安全性の高め方 ⑧の続きです。
本音の議論があればこそ
私が保育園経営者時代、パワハラ大王と言われていた当時、生産性の低い会議を繰り返していました。特に私がいる会議では、私に忖度し、建設的な意見や議論も起こらずに、黙って時間が過ぎることもよく見受けられました。
また、ミスや問題につながるネガティブな情報はすぐには私の耳に入らず、対処が遅れて、さらに事態が悪化するようなことも多々ありました。
その後、自分自身のあり方を変えて、心理的安全性を高めるにつ れて、会議の質は格段に向上し、生産性の高いものへと変わっていきました。
ネガティブな情報もすぐに報告されるようになり、すばやく対処できることで大きな問題になる前に処理することが増えました。この状態になった時は、私自身の心理的安全性のあり方を評価して、本音で話をしてくれる従業員が増えていきました。
当然、従業員との衝突も起こりました。しかしその衝突は健全なものであり、それまで一方的に私が従業員を従わせていた構図ではなく、何かの課題について正面から議論し、私に対して真っ向から 反対意見をぶつけてくれることも増えました。
このような状態が整うことで会社は拡大路線に舵を切ることができ、私が在任中の最後の3年間で売上は5倍、従業員数も3倍近くまで成長をしました。非常に高かった離職率も大幅に下がりました。
私は健全な新陳代謝において一定の人の入れ替えは大切だと考えています。なので離職率よりももっと重要なのは会社にとって健全な新陳代謝を起こせる人材が定着・育成されることだと考えています。その会社の従業員の平均年齢は20代後半でしたが、その中で入社して2~3年の20代前~中盤で園の責任者や主任クラスに抜擢される人材が多数育ちました。
従業員の年齢構成は20代〜60代と、その幅広い年齢の多様性ある人材を20代前半のスタッフがまとめていくのは非常に大変です。当然、私をはじめキャリアの長いスタッフがサポートはしますが、その環境のなか自分自身を磨き、結果として覚醒した能力を発揮して次世代のリーダーとして会社を牽引していくような人材を輩出することができました。
次世代リーダーが育つことで、会社全体に心理的安全性が仕組み化された属人的でない経営体制を構築することができるようになりました。
これは私の場合の事例ですが、このように心理的安全性を高め 「本音で話せる」風土が定着する ことで、健全な新陳代謝をしながらイノベーションを起こし、成長する企業やチームをつくることが可能となります。
長くなってしまったので⑩に続きます。
もうしばらくおつきあいお願いします。
次回は、この章の終わり“健全な新陳代謝が大切”です。